外反母趾ってどんな足?
外反母趾とはどんな足なのか?その原因と予防、対策についてお話します。
皆さまはご自身に合った靴を選べていますか?
外反母趾とは?
足の親指が、足の人差し指の方向に「く」の字に曲がっている状態(外反)を
「外反母趾」といいます。
内側の指の付け根が靴に当たり、関節が炎症を起こし、痛みにつながります。酷
くなると靴を履いていなくても痛むことがあります。
「外反母趾」は靴の歴史が長い欧米人に多い症状でした。
しかし日本人も靴を履くことが多くなり、症状に悩む方が増えてきました。
あるシューズメーカーの調査では、50歳~70歳代の日本人女性は30%が外反母趾
で悩んでいるとの報告もあります。
外反母趾の程度は、「外反母趾診療ガイドライン2014改訂第2版」によると、
外反母趾は進行性の症状で、対策をしないと自然治癒することはありません。
関節の変形が徐々に進み、重症化してしまう可能性もあります。
自分が外反母趾かもしれないなと思ったら、まずは専門の医療機関に相談しましょう。
外反母趾になる原因
日本人が「靴を履く」ようになってからしばらく経ちます。
実はこれも外反母趾の大きな要素のひとつです。
外反母趾になる方の多くは中高年の女性が多くみられます。
しかしたとえ10代であったとしても、条件が重なると、外反母趾になってしまうこともあります。
● 遺伝的要因
足の形は大きく分けて3種類に分類されます。「エジプト型」「ギリシャ型」
「スクエア型」です。
足の人差し指よりも足の親指のほうが長い形をエジプト型。
足の親指よりも足の人差し指のほうが長い形をギリシャ型。
足の親指と足の人差し指が同じ長さの形をスクエア型(正方形型)といい、
日本人の場合は「エジプト型:ギリシャ型:スクエア型=75%:15%:10%」の
比率であるといわれています。
とくにエジプト型の場合、足の親指に重心が乗りやすい傾向にあります。
歩く時は踵から着地して小指側→親指の付け根→親指へと重心が移動します。
最も長く足の親指側に体重が乗り、外側からの重心移動が大きくなり、ねじれを
生みます。
このねじれにより関節に大きな負担がかかるのです。
● 足のアーチ
足には土踏まずの辺りに縦アーチと横アーチがあります。
地面からの衝撃吸収をするクッション、前への推進力を生むバネ、重心のバラン
スコントロールの3つの役割を担います。
これらは主に足の親指を動かすための筋肉で構成されており、足の筋肉がうまく
機能しないとアーチが崩れます。
縦アーチの消失は「偏平足(へんぺいそく)」、横アーチの消失は「開帳足(かい
ちょうそく)」と呼ばれます。
足のアーチ本来の役割が果たせなくなることで、足趾の関節にかかる負担が大き
くなり、変形が進んでしまいます。
●靴選び
立ったり、座ったり・歩いたりしているとき、足は唯一地面と接して、両足で自
分の体重を支えています。
外反母趾の大きな要因は足の付け根に負担がかかることです。靴が自分と合わな
いと歩く際の一歩一歩、階段の上り下りなど、日常生活すべての動作が関節への
過度な負担につながります。
足の負担の少ない靴を選びましょう。
●筋力低下
中年期以降は意識して運動をしないと筋力低下が進みやすいです。
外反母趾になる方が多い年代であり、運動不足による筋力低下も外反母趾の要因
のひとつとしてあげられます。
とくに体幹部分や下半身の筋力低下は、姿勢を保持するための筋肉が多く、筋力
の低下は悪い姿勢をもたらします。
この悪い姿勢により、かかと重心になってしまうことで、足指が浮き指状態にな
ってしまうのです。
足を使えないと、足の筋力低下にもつながり、アーチが低下して、外反母趾を助
長するという悪循環になってしまいます。
外反母趾の対策・予防
ここまで外反母趾になる原因を挙げてきましたが、
外反母趾にならないように、又はなってしまった場合どうすればよいのでしょう
か。
● 運動療法
運動療法は外反母趾に関わる筋肉をトレーニングすることで、症状を緩和、維持
する方法です。
軽度から中等症の範囲であれば、変形を矯正したり、疼痛を緩和する一定の効果
が期待できます。
・Hohman(ホーマン)運動
1.左右の足の親指にゴムバンドをかけた状態で、ゴムバンドを外側に引っ張り
ます。
2.母趾同士を離すように開き、5秒~10秒保持します。
3.1セット30回を目安に1日3セットおこないましょう。
足指を外側に矯正する方向に負荷がかかる運動で、関節の矯正と痛みの軽減に効
果が期待できます。
・足指ジャンケン
文字通り、足の指を使ってジャンケンをします。
1.足の指を丸めて「グー」の形にします。
2.親指を手前に残りは奥にして「チョキ」の形にします。
3.親指を奥に、残りは手前にして「チョキ②」の形にします。
4.足指全体を伸ばして開き「パー」の形にします。
5.グー、チョキ、チョキ2、パーと5秒ずつキープ。5セットおこないましょう
足指の間にある「骨間筋」を刺激して、足裏のアーチを保ったり、足の指の動き
を促す体操です。
・タオルギャザー
タオルを使って、細かい足周辺の筋肉を強化します。
1.床にタオルを敷く(フェイスタオルでOK)
2.両足をタオルの端っこに乗せます。
3.足指を使ってタオルを握りながら、手前にたぐり寄せます。
4.タオルを端までたぐり寄せたら、広げて元に戻します。
5.5セット繰り返しましょう。
はじめは足指が使いづらく、タオルを握るのが難しいかもしれません。
ムリにすると足がつったりしますので、気を付けて可能な範囲でおこないましょ
う。セット数は徐々に増やすのがおススメです。
・ つま先立ち
ふくらはぎのトレーニングも足裏のアーチを整えたり、足の指を使って立つこと
でかかと重心がつま先荷重になり、筋肉が使いやすくなります。
1.背筋を伸ばして立ち、足は腰から肩幅にして立ちましょう。
2.壁などに手をついてバランスをとり、安定させましょう。
3.足指をしっかりと伸ばし、かかとを上げてつま先立ちになります。
4.できる限り背伸びをするようにしたら、ゆっくりとかかとを下ろします。
5.10回を3セットおこないましょう。
靴選び
トレーニングで足をケアするのと同時に、日常生活で履く靴にも注意しましょう。
ご自身の足に合った履物を選ぶようにしましょう。
・前足部に適度なゆとりがある(先の細い靴を避ける)
・歩行時の重心移動がスムーズである(極端なヒールや底が平らな形状は避ける)
・足裏のアーチをサポートするような形状である(平らな中敷きは避ける)
・サンダルは鼻緒のついたものを選ぶようにする(足指が浮くようなものは避け
る)
インソールによる効果
① 外反母趾などの足の変形の進行予防効果。
② 痛みやシビレ、足のタコなど、アーチの潰れが原因となる症状の改善効果。
③ 歩きやすく、疲れ難くなるといった歩容の改善効果。
④ 外反母趾の角度やアーチの矯正効果。
最もも有効なのが足底板(アーチサポート)を用いた改善法です。
アーチサポートをインソールとして靴の中に挿入することにより、足裏からつぶ
れたアーチを持ち上げて足の変形を矯正します。
但し、人の顔が個々に皆違うように足の裏も皆違った形状をしているので、
中等症・重度の以上の方は特にアーチサポートは出来合いのものではなく一人一
人オリジナルなインソールを作成して足の負担を減らしましょう。